計画的行動理論について

禁煙やダイエットなどの健康行動の継続は難しい。6ヶ月後には健康行動に取り組んだ約半数が脱落することが研究により明らかにされている。
ところで、代表的歯科疾患である歯牙う蝕、歯周病の発症の背後には不適切な生活習慣が関与している。治療的に回復させてもこの生活習慣が適正化されない限り再発を免れない。疾病を予防するための口腔保健行動は歯科臨床では欠かすことのできない重要な健康行動の一つであるとみなす事ができる。
それでは、行動を望ましい形に変容して継続していくにはどのような働きかけが有効なのだろうか。この事について心理学的に多くの研究がなされてきた。計画的行動理論は上記に関して示唆を与える理論の一つである。

行動に対する態度

第一に、望ましい新たな行動に対して肯定的な態度である事が必要であるとされる。態度とは行動の前段階とみなされるものであって、行動の根底にある考え方に対する感情、評価と捉えられる概念である。
つまり、なぜこの行動に変えていかなければならないかという理解を前提として、新たな行動に対してその必要性を受け入れポジティブな感情を抱く必要がある。

主観的規範

第二に、その行動を提唱する医師、あるいは家族など周囲の重要な他者がどれだけその行動を期待しているかを認識する事である。
人は、自分にとって重要な他者の期待にそうような行動を取る傾向があるという事実を前提としている。

行動のコントロール感

第三に、その行動を実行できそうだという見込み感である。このコントロール感が行動の生起に最も大きな影響を与えるとされる。
それでは、この行動のコントロール感を高めるにはどうすればいいのだろうか。これについてはまた別の理論で解説したい。