口腔内特発性疼痛の病態について
口腔内特発性疼痛とは
口腔心身症の中ででしばしば遭遇するものに口腔内特発性疼痛がある。歯や顔面、舌、口の中全体が痛むという症状で医学的な一般的検査、たとえばX線検査などで異常所見が見出せない。
原因については近年の脳科学的研究からそのメカニズムが明らかになりつつある。簡単には、疼痛発現部位にはその原因となるような侵害刺激は全く存在せず、過去の体験の感情や認知が脳の疼痛処理に何らかの障害をもたらしていると考えられている。
つまり、口腔内特発性疼痛の発症には、心理的要因と脳、脊髄神経系のネットワークの障害の両者が関与していると考えられている。
症状の特徴
口腔心身症の一つである口腔内特発性疼痛と歯が原因の疼痛との違いを確認する。
まず一般的な病理で説明できる歯痛などは疼痛の程度が次第に変化し一定ということではない。病勢に応じて痛みの程度は強まりもすれば軽くなりもする。
また、患部に対する理化学的刺激、押したり、かみ合わせたり、温冷刺激で疼痛の感じ方に変化がある。
これに対して、特発性疼痛は疼痛の程度が一定で、長い時は数ヶ月にわたり継続し、局所の理化学的刺激には無反応である。