「健康」の重要性に気づきを与え「生活の質(QOL)」の向上に不可欠な「ヘルスプロモーション」の実践を支援する
問題症状が解決すると次に求められるのは疾患の予防、健康の増進です。ヘルスプロモーションとは、「自らの健康を決定づける要因を、自らよりよくコントロールできるようにしていくこと」と定義づけられます。より良く生きる上で、健康とは誰にとっても欠かすことのできない重要な資源であるということに異論はないでしょう。
WHOの健康の定義によると「健康とは単に疾病がないという状態のみをいうのではなく」「健康とは身体的、社会的、心理的に良好な状態である」とされています。つまり、健康な状態とは身体、社会、心理的側面から統合的に捉えられるべきで、さらにはこれらの要因が相互に影響しあって個々の健康状態を規定していると考えることができます。
健康に対して主体的にコントロールして維持、増進していく道筋はヘルスプロモーションという概念に示されています。ヘルスプロモーションを実践するということは、疾患を予防することにとどまらず、自らが積極的に、身体的、社会的、心理的に健康度を増進させようとするプロセスであるということが言えます。
ヘルスプロモーションの実践においてしばしば用いられる心理学的な対処法の一つとして行動療法的アプローチがあげられます。行動理論では、行動は生育歴、性格といった生活体要因と環境要因から形成されると考えます。したがって、適応習慣の獲得に当たっては、これらの要因に働きかけていきます。具体的には環境を調整しながら不適応な学習の解除を行い、それに置き換わる適応的な行動の再学習を行うことにより行動変容とセルフコントロールの獲得を目指していくというものです。
ところで、私は人が「よりよく生きる」を理解する枠組みの一つである心理学に、かねてより興味、関心を持ち、研鑽を積んで参りました。そうした折、2018年に心理職唯一の国家資格となる公認心理師が新設され、満を持して公認心理師資格を取得いたしました。
公認心理師は、医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、心理に関する支援を必要とする方々の心理状態を観察、分析し、問題を明らかにするとともに、そうした方々と問題を共有し、カウンセリング(対話による共同作業)を通して解決への道を模索していきます。
「健康とは身体的、社会的、心理的に良好な状態である」当クリニックでは、すべてのスタッフがこの事実と向き合い、人々の「よりよく生きる」を支援していきます。